吉野ヶ里ニュー・
テクノパーク跡地について質問をさせていただきます。
吉野ヶ里ニュー・
テクノパークは、その面積が約二十七・五ヘクタールあり、当初、昭和五十八年に
神埼工業団地として計画され、平成元年に着工されました。しかし、
吉野ヶ里遺跡の発見により、工事は中断され、その後、紆余曲折を経て工業団地の
事業計画見直しが行われたところでございます。平成十四年には多
目的産業用地から他の用途に転用することとし、公園化を検討されたところであります。
それから九年経過した現在に至るまで、具体的な用途は決まっておらず、現地は竹やぶばかりで放置された状態になっております。
吉野ヶ里歴史公園に隣接しており、景観上、好ましくないばかりか、ここをすみかにするさまざまな有害生物の発生に、隣接する住民の皆さんは大変困っておられます。
そこで、質問させていただきます。
この跡地の管理についてですが、
吉野ヶ里歴史公園のイメージアップを図る上からも、地域の方たちの生活を守る上からも適正な管理に努めるべきと考えますが、県としての考えをお聞きしたいと思います。
二点目は、
跡地の利活用についてを質問します。
吉野ヶ里ニュー・
テクノパーク跡地については、この九年間、いまだに跡地利用の方向性が提示されないままに終わっています。
緊プロ実施期間中で財政上厳しい状況とはいえ、地元の皆さんの善意で提供いただいた跡地がこのように停止状態とは、大変大きな問題だと考えております。そこで、県の考え方、方向性をお伺いしたいと思います。
次に、三項目めでございます。
城原川の治水対策についてお伺いします。
城原川ダムについては、昨年十二月二十一日に「
城原川ダム事業の
関係地方公共団体からなる検討の場」の準備会が開催され、検証がスタートしました。
今回の検証は、「できるだけダムにたよらない治水」への政策転換を進めるとの考えのもと、「ダム事業の検証に係る検討に関する再
評価実施要領細目」により検討されるものとなっています。
検討主体である
九州地方整備局による複数の
治水対策案の立案、評価等の検証に係る検討に当たって、地域の意向を十分に反映するための措置を講じることとされていますが、実際、本当に住民や
学識経験者の意向がその検証に反映されるか、大変疑問を抱いております。
一方、城原川では河道掘削や
堤防漏水対策工事が進められておりますが、ことし一月二十六日に地元住民や神埼市、
神埼市議等を対象として堤防開削の
現場見学会が開催されました。その結果、開削された堤防の性状が脆弱であり、城原川の堤防の安全性に不安を感じた方々も多かったと聞いております。
さらに、
城原川下流において満潮時の水位が昔と比べて高くなっているように感じ、沿川住民の皆さんも不安を感じておられます。
下流高潮区間の堤防整備を早急に対応していただきたいと思うところでありますが、そこで質問をさせていただきます。
まず一点目、ダム検証における検討の場及び意見聴取についてであります。
今後、検討の場が開催され、議論が始まると思いますが、客観的に
学識経験者や関係住民の意見がどのように反映されるか全く不透明であり懸念されるところであります。どのような計画なのかお伺いしたいと思います。
二つ目は、
城原川堤防の性状と整備についてであります。
堤防開削部における堤防の性状はどのようであったか。また今後、開削部以外の堤防も含め、城原川の堤防整備はどのように進めていくか、その辺をお聞きいたしまして、一回目の質問を終わらせていただきます。(拍手)(「知事さん、一回目のマニフェストでは、
城原川ダムは考え直すて書いていらっしゃいますね。あれはよかですよ」と呼ぶ者あり)
3 ◎
飛石農林水産商工本部長 登壇=私からは、
吉野ヶ里ニュー・
テクノパーク跡地についてのうち、
跡地の利活用についてお答え申し上げます。
吉野ヶ里ニュー・
テクノパークにつきましては、平成十三年四月に
吉野ヶ里歴史公園が第一期開園し、引き続き公園整備が促進されましたことから、歴史公園との並立が難しい状況となったわけでございます。
このことから、平成十四年に産業用地から他用途に転用するとした場合の
具体的利活用策を検討し、その中で公園としての利活用が望ましいとされたところでございます。
これを受けまして、平成十六年度に
県土づくり本部におきまして、
学識経験者や地元などで組織します
吉野ヶ里ニュー・
テクノパーク跡地整備検討委員会におきまして、
公園化基本構想を取りまとめられたわけでございますが、折から佐賀県
行財政改革緊急プログラム期間中であったことから事業化が見送られたところでございます。
今後も引き続き財政状況は厳しく、財源の確保はめどが立たないことから、公共事業による公園化は困難であると思われますが、平成元年に
神埼工業団地に着手してから二十年以上という長い年月が経過しておりまして、
農林水産商工本部といたしましては、改めて利活用策を検討すべき時期に来ているのではないかと考えております。
今後、
農林水産商工本部だけでなく、地元神埼市の意見も聞きながら、全庁的に視野の広い検討を進めていきたいと、このように考えております。
以上でございます。(「歴史景観残してくださいよ。発掘調査が一番魅力があるから、あそこに
鹿児島新幹線の観光客ば連れてきてくんさい」と呼ぶ者あり)
4 ◎
牟田県土づくり本部長 登壇=私のほうからは、
吉野ヶ里ニュー・
テクノパーク跡地の管理の問題についてと、それから、城原川の治水対策についてお答えを申し上げます。
まず、
吉野ヶ里ニュー・
テクノパークの跡地の管理の問題でございます。
この土地につきましては、現在、佐賀県
土地開発公社が管理をいたしております。面積が二十五・六ヘクタールと広大でありますことから、
地元自治会の意見等を踏まえまして、年に一回、幹線道路や水路沿いを中心に除草作業を行っている状況でございます。
しかしながら、近年、雑草が非常に繁茂をいたしまして、
吉野ヶ里歴史公園の景観、あるいは近隣住民の方々の生活環境という観点からは、議員御指摘がございましたとおり、管理が十分に行き届いていない部分もあるというふうに認識をいたしております。
このため、地域住民の方々の御要望をさらに丁寧にお聞きいたしまして、除草や竹林の伐採等の範囲や時期についても十分に検討いたし、適切な対応が図られるよう
土地開発公社を指導してまいりたいというふうに考えております。
次に、城原川の治水対策のうち、ダム検証における検討の場及び意見聴取についてでございます。
検証の実施要領によれば、治水対策につきましては、ダム、遊水地、引き堤など二十六の項目の対策案が、その流域で有効かどうかが検討されることになっております。この中から複数の
治水対策案を選定した後に、それぞれについてコスト、実現性、環境への影響など七つの観点から総合評価が行われることになっております。
また、この総合評価を行うまでの過程におきまして、地元の意向を反映するために、先ほど指摘がありました
関係地方自治体からなる検討の場が設けられることになっております。
この具体的な検討のスケジュールはまだ示されておりませんが、主要な段階で
パブリックコメントを行って、広く意見を募集し、その上で学識経験を有する者、関係住民、
関係地方公共団体の長の意見を聞くこととされております。
国では、これらの過程を経ることによりまして、関係住民や
学識経験者の意見を反映させたいとされているところでございます。
次に、城原川の治水対策のうち、
城原川堤防の性状と整備についてお答えを申し上げます。
堤防からの比較的大きな漏水が確認されました
協和橋上流右岸堤防の約七十メートル区間につきましては、本年度、国において堤防を開削し、開削断面の観察や盛り土材の土質調査が行われたところでございます。
この結果、この区間の堤防につきましては、粘土分が非常に少ない砂質土で構成をされており、透水性が大きいため、河川水が浸透しやすい土質であったこと、また、スコップで容易に掘れるほど非常に緩い状態であったということが判明をいたしております。
このため、国ではこの区間の堤体材料について現地土が使えないというふうに判断をしておりまして、水が浸透しにくい新しい土へ全面入れかえるということを行うとともに、湧水や堤防に浸透した水を速やかに排水するための工事が進められているところでございます。
次に、この区間も含めまして、平成二十一年洪水の際、堤防ののりじり付近から複数の漏水が確認された神埼橋の上下流約二キロ区間、具体的には新宿橋から
ふるさと大橋の区間でございますが、この堤防におきましては、合計二十七カ所の
調査ボーリング及び土質試験が実施をされております。
調査の結果、全川にわたり堤防の基盤や盛り土の一部におきまして、砂の水分が多い層が確認をされておりますが、全体的には堤体材料として特に支障となるものではないというふうにされております。
このため、漏水が確認された箇所につきましては、堤防内に浸透した水を速やかに排水し、堤防を強化するための工事が進められているところでございます。
高潮区間を含めまして、これらの区間以外の堤防につきましても、国において
ボーリング調査、土質試験、堤体の地すべりや浸透に対する安全性の確認が行われておりまして、また、通常時や洪水時にも点検が行われております。これまでこうした区間では漏水等の堤防の異常は確認されておりません。
今後、城原川の堤防整備に当たりましては、
河川整備計画に基づきまして、必要な腹づけによる拡幅及び堤防の補強が実施されていくものというふうに考えております。
以上でございます。
5 ◎
鵜池生産振興部長 登壇=私のほうからは、
集落営農組織につきましてお答えをさせていただきます。
まず、
集落営農組織が抱える課題等についてでございますが、この
集落営農組織につきましては、これまで大
規模農業者とあわせまして、水田農業の重要な担い手として育成してきたところでございます。今後とも、一層の発展を図っていくためには、個々の集落営農の現状などを把握し、経営の充実を図っていくことが必要であるというふうに考えておりまして、昨年の夏から秋にかけまして、県、市、町、JAなどの関係機関・団体が連携をして、全部の
集落営農組織を対象といたしまして、経営実態の聞き取り調査を行ったところでございます。
この調査の結果、多くの
集落営農組織からは、機械を共同利用することで
生産コストが低下したこと、高性能な大型機械を導入できるようになり、省力化が図られたこと、高齢化が進む中で地域の農地を守る受け皿ができたことなどの組織化のメリットにつきまして、多くの意見が出されたところでございます。
一方で、一部の組織からは役員や経理の業務が負担になっており、その軽減策を図る必要があること、また、
集落営農組織に作業を委託することで
余剰労働力がふえており、その活用策を検討する必要があること、また、
戸別所得補償制度では個別農家でも交付金の対象になるというふうなことから、今後、組織から脱退者が出るのではないか、こういった不安があるなどの課題も出されたところでございます。
次に、会計を含めた
事務担当者の負担軽減ということでございますが、先ほど触れましたように、
集落営農組織の調査におきましても、経理業務については煩雑で事務量も多いというふうなことから、会計担当の負担が大きいという声も聞かれたところでございます。そうした
集落営農組織を引き続き円滑に運営していくためには、
会計担当者などの負担軽減を進めていくことが大変重要というふうに考えております。
こうした中、県内のほとんど多くの
集落営農組織では収支の入力や決算などの経理業務の一部を農業団体に委託しながら
会計担当者の負担軽減を図っておるというふうなこと。また、他の地域におきましても、複数の
集落営農組織が共同で
会計担当者を雇用したり、米、麦などの
共同乾燥調製施設の運営組織で雇っておられます
会計担当者にこの
集落営農組織の経理を兼務していただいておると。こういったいろんな地域におきまして工夫をしながら、負担軽減に取り組まれているという事例も見受けられております。
このようなことから、今後、
会計担当者に大きな負担がかからないような方法につきましては、
集落営農組織に対しましても、こうした他の事例などを紹介するなどしまして、円滑な組織運営が図られるよう指導していきたいと考えておるところでございます。
次に、
集落営農組織の今後の強化ということでございます。
農産物の価格低迷、あるいは高齢化が進んでいるというふうな中で、この
集落営農組織につきましては、規模の小さな兼業農家なども含めて作付品種の団地化や機械の共同利用による
生産コストの低減が図られることや、
作業受託等による地域農業の担い手となるなど大変重要な役割を果たすものでありますことから、引き続き維持発展させていくことが大変必要であるというふうに考えております。
このため、県ではまず組織の個々の構成員が
集落営農組織のメリットや役割につきまして、十分に理解を深めてもらうことが重要なことから、地域での十分な話し合いを進めてもらうよう指導したいというふうに考えておりまして、さらには県で開催します研修会などを通じまして、その普及に努めていきたいと考えております。
また、生産の効率化や低コスト化を図るために、
集落営農組織が使用する
農業用機械の整備、さらには大豆不
耕起播種技術など革新技術の導入等を進める国や県の事業なども大いに活用しながら、支援をしていきたいと考えております。
さらには、作業の共同化などで出てきた
余剰労働力の活用と経営の安定を進めるために、研修会の開催やアドバイザーの派遣等によりまして、タマネギやブロッコリーなどの新規作物の導入、さらには新たな加工、販売への取り組みなど経営の多角化等を積極的に推進しているところでございます。
今後とも、関係機関・団体と連携しながら、組織の熟度や地域の実態に応じました効率的な
生産体制づくりや新規品目の導入などによりまして、この
集落営農組織の経営の強化に積極的に努めていきたいと、このように考えております。
以上、お答えさせていただきました。
6 ◎内川修治君(拍手)登壇=それでは、再質問をさせていただきます。
まず、
吉野ヶ里ニュー・
テクノパークからですが、実は神埼市の千代田町に、もともとから工業団地を誘致したいということで、町村合併以前から、あるいは当時から今日に至るまで、神埼市としてはこの千代田町の工業団地を造成したい、企業を誘致したいという動きがあり、当然、県、あるいは国を通じてその要望が出されていたんですが、九州農政局の答えは、神埼市には
テクノパークがあるでしょうと、それがある以上はそっちのほうを優先すべきだというような、そういった答弁が返ってきたと。要するに、
テクノパークがあるばっかりに千代田町の
工業団地化は図れないというようなネックになってしまっているんですね。
ですから、そういう意味においても、この
テクノパークの対策は早急にしていただきたいという思いが一点、これについてどう考えておられるのか。
また二つ目は、
吉野ヶ里公園にせっかく来たにもかかわらず、車をちょっと一、二分北上させてしまえば、もうそこは竹やぶ、あるいは瓦れきの山、そういう状況なんですね。だから、本当に今仲間からも声が上がっていましたように、せっかくの
吉野ヶ里公園が泣いてしまっているような──景観上ですね、そういう状況をやはり何とか急いでほしいという思いです。そのことについても再度質問したいと思います。
それと、これはせんだって佐賀県の
土地開発公社の
経営状況報告書、二十一年度の分を参考資料としていただいたんですけれども、この土地利用、土地活用という点において、もしどこかがこの土地を購入したいと、あるいは活用したいと申し出があった場合、私まだ素人でよくわからないんですが、この
土地開発公社から出された報告書によれば、この
吉野ヶ里ニュー・
テクノパークの約二十五ヘクタールの期末簿価というんでしょうか、これが約三十三億円あるんですね。だから、これがもし本当に売買されたとき、果たしてどのくらいの価格になるのか。そして、そうした場合どれだけの差額が発生するのかですね。これは、
土地開発公社の役員さんの名簿は副知事の坂井さんを先頭に、いわゆる県執行部の役員の方々が構成されていますので、その辺のことはよく御理解いただけているものと思います。
土地開発公社のことについて追及した質問はもうこれ以上やりませんが、そのことだけ、もしよければ御答弁をお願いしたいと思います。
それから、今、年に一回の掃除をやっているという──清掃ですかね、おっしゃったんですけれども、やはりこれについても、もう少し丁寧な
環境づくりというか、それをぜひやっていただきたいと思います。これは要望にとどめておきます。
それから、城原川のダムの問題でございますが、せんだっての「
城原川ダム事業の
関係地方公共団体からなる検討の場」の準備会が開催されたわけでございますが、そのときは各自治体の、例えば佐賀市、あるいは神埼市の副市長さんが御出席なさったんですけれども、実際これが検討の場となりますと、その
構成メンバーが古川知事、それから佐賀の市長さん、それから神埼の市長さんが構成員となることになっております。そして、検討主体が
九州地方整備局長というふうになっていますけれども、これを念頭に置いて、先ほど
牟田本部長のほうから、この検証の進め方についていろいろと御説明をいただきました。流れはよくわかります。
ただ、私が懸念するのは、この検証の進め方の中で、これは国土交通省が出していただいた参考資料四というペーパーがありますが、その中にこの検証の進め方で、まず最初に、一番目に1)として、「『
関係地方公共団体からなる検討の場』を設置し、相互の立場を理解しつつ、検討内容の認識を深め検討を進める。」と。そして、二番目に2)として、「検討過程においては、『
関係地方公共団体からなる検討の場』を公開するなど情報公開を行うとともに、主要な段階で
パブリックコメントを行う」。そして三番目、3)として、「学識経験を有する者、関係住民、
関係地方公共団体の長、
関係利水者の意見を聴く」という、こういう順番になっております。
ここで質問したいことは、お聞きしたいことは、まずこの一つ目の、「
地方公共団体からなる検討の場」、ここで「相互の立場を理解しつつ、検討内容の認識を深め検討を進める。」となっていますが、これは別に私は心配するわけでもないんですが、先ほど申し上げたように、この
構成メンバー、古川知事さん、それから秀島市長さん、松本市長さんに対して、国からいろんなダムによらない
治水対策案が出されて、それに対していろんな検証が図られると思いますが、私が本当に心配しているのは、この三人の方、それはもう優秀な首長さんであることは私も認めますが、このダムの問題について三人の皆さんで検討していて、本当の真実が追及できるだろうかと。果たして、学者ほどの知識なり、そういった見解なりを本当に持っておられるのか、私は非常に疑問なんです。
ここで決まったこと、そして、その検討の場を進める中で、確かに
パブリックコメントを行うというふうに書いてはあるんですが、特に心配なのは、この1)と2)をした後に学識経験を有する者とか、関係住民、そういったものの意見を聴くとなっているんですけれども、私はこの順番が非常に間違っているような気がしてならないんです。むしろ、この検討の場、いわゆる構成員である知事さんとか市長さんたちのこの検討の場に、
学識経験者や関係住民の皆さんの意見を取り入れることのほうがはるかに重要だと私は思っているんです。
振り返ってみますと、城原川の
流域委員会がかつて開催されました。そして、その後に関係首長による会議も持たれました。しかし、本当にあれは一体何だったのかと。結論ありき、ダムありきのもとで基本的には進められたんじゃないかなという気がしてしようがないんです。しかし、今回はダムによらないというスタンスで検討したいということを国も一応うたってはいるんですけれども、やはり私が一番心配するのは、
学識経験者、しかもダムありきの、いわゆる御用学者でなくして、本当にこの城原川に限らず、ダム問題について深い見識を持った、そういった学者とか、あるいはこのダムの問題を、城原川をしっかりと勉強してきた地域の住民の皆さん、そういった方たちの声をもっともっと早く、そして──早くというか、もっともっと最初の段階で取り入れるべきだと私は思うんですが、このことについて
牟田本部長さん、どう考えておられるかお聞きしたいと思います。
それと、このダムの問題につきましては、私がもうこの三年半、古川知事さんや
牟田本部長さんたちといつもやりとりさせていただいたわけですが、基本高水六百九十トンというこの数字がなかなか動かない、どうしても見直しがされない。私はこのことについて、いつも歯がゆい思いをしているんですけれども、これだけ客観的に検証してもらったり、客観的な地域住民の皆さんのいろんな声がこの県政に届いたにもかかわらず、それがなかなか見直しがされなかった。
そういった中で、去年、あるいはおととしのあの大洪水、このときも私は申し上げました。昭和二十八年のときの降水量以上の降水が一昨年ありました。にもかかわらず、城原川の流量は国土交通省が四百から四百五十トンだろうという、これはもうホームページにも載っていますから正式なコメントでいいと思いますが、そこまで事実がありながら、やはり六百九十トンという数字を見直そうとしない。これはもう県だけでは解決できない問題だとは思うんですが、このことについて多分県としても国に要望活動はされていると思いますが、私はこの城原川の問題については、やはり県庁で一番造詣の深い
牟田本部長にお聞きしたいと思っております。
それともう一点ですけれども、河川工事というのは、私は通常、下流から上流のほうに拡幅なり、あるいは堤防の補強をやるべきだと思うんですけれども、いろんな事情があるにせよ、今の工事はどうも上流のほうからいろいろと対応されているように思うんですね。ですから、この辺の基本的な考え方も質問をさせていただきたいと思います。
以上でございます。(「そこは世界遺産候補だそうですよ。上流はあんまり手をつけないで。茂安公の治水を残してくださいよ。下流ば広ぐっぎよかじゃなかですか」と呼ぶ者あり)
7 ◎
飛石農林水産商工本部長 登壇=
吉野ヶ里ニュー・
テクノパークの跡地利用に関連いたしまして、千代田町におきまして工業団地の計画があるけれども、これが
吉野ヶ里ニュー・テクノの関係で、なかなか農政局との話が進まないと、それを踏まえてどのように考えているのかというような質問だったと思います。
神埼市の工業団地の開発につきましては、私どもも承知をしておりまして、ただいま御質疑をいただきまして、改めまして詳細な神埼市の整備スケジュールを確認しました上で、神埼市の工業団地整備スケジュール、こういったものに支障がないように、
吉野ヶ里ニュー・
テクノパークにつきましての九州農政局との協議というのもございますので、こういったものを進めるとともに、先ほど申しましたが、そのためにもこの跡地の利用をどうするかということで神埼市の意見も聞きながら、全庁的に広い視野でもって、この跡地利活用策の検討、こういったものを進めてまいりたいと、このように思っております。
私からは以上でございます。
8 ◎
牟田県土づくり本部長 登壇=何点か再質問がございましたのでお答えを申し上げます。
まず、
吉野ヶ里ニュー・
テクノパークの環境の問題でございますが、だんだん悪くなっているというのは私たちも十分承知をいたしております。特に広うございますので、除草作業もそうですが、竹林というですか、竹林が非常に拡大して、しかも手入れがほとんどなされていないという状況であるということは私ども十分認識しております。
県としても、
土地開発公社と十分また話をしまして、特に集落周辺のところについては、その住民の方々の意見も十分聞いて、もう少しきちんとした整備ができないかということについては早速手配をしたいというふうに考えております。
それから、この土地を売却する場合の価格をどう考えているかという御質問がございました。
簿価で今三十三億円というお話がございましたが、通常、それを、例えば
土地開発公社がだれかに売却をするということになりますと、その簿価だけではなくて、やはり取引時点での周辺の実勢と申しますか、取引事例を参考に、改めてその価格を算定するということになります。現時点でその精査というか、そういう詳しい価格ははじいてはおりませんが、二十年十月時点で
土地開発公社が、内々でございますが、どれくらいかなということで試算した経緯がございますが、この時点では
土地開発公社によりますと、そう大きな変動はあっていないというようなことを聞いております。
それから、城原川の治水の問題でいろいろ御意見を賜りました。
確かに、検証の場に
学識経験者、あるいは住民の意見を、どのように、どの時点で、どういう形で反映させるかということにつきましては、実はこの検証の場というのは準備会が開かれただけで、本当の検証の場としての第一回の会議もまだ開かれておりません。準備会の中では大まかなやり方といいますか、それが示されているだけでございまして、どういう検討を行って、この段階で
パブリックコメントなり、住民の意見、
学識経験者の意見を聞いて、さらに検討してまた聞くといったような、その具体的なスケジュールが示されておりませんので、議員からはそういう御心配の声があろうかというふうに思っております。
もちろん、県としても、この
城原川ダムについてはさまざまな住民の方々の意見があるということは十分承知をいたしておりますので、当然その検証、検討の場ではそういうものも十分聞いていただいて検討を進めていく必要があるというふうに思っております。国に対して、具体的にどういう時期で、どういう形でというのは聞いていくことにしたいと思いますが、適切な時期に適切に意見が反映されるよう国にお願いをしてまいりたいというふうに思っております。
それから、基本高水流量の六百九十トンの検証の話もございました。
この件については、もうさきの議会でも私二度ほど御答弁を申し上げておりますが、二十年、二十一年に近年にないような大きな洪水がありまして、実測流量が実際に観測をされております。この六百九十トンというのは、あくまでもシミュレーションに基づいた流量でございますので、だから、その実測された流量と雨との関係とこの六百九十トンの関係をきちんと検証してくれということについては、一度二度ならず国のほうに要請をいたしております。その途中で、こういうふうにダムそのものの検証に入るということで、そこの明確な説明もまだあっていないんですが、そこはさらに聞いていきたいというふうに思っております。
それから、河川整備について、下流からすべきじゃないかというようなお話がございました。
それはもう、河川整備をするときには下流からというのは原則でございます。ただ、城原川については、そう言いながら実は局所的に非常に弱い箇所が次々に見つかっていると。それで、そこは決壊しないように、あるいは越水しないように、やはり緊急的にその場所場所について手当てをしていく必要があるというふうに私どもは考えておりまして、一定程度、破堤の危険がないという状況になって、河道の流下能力を全体的に広げていくという段階になりますと、下流からということが原則になろうかというふうに思っておりますので、今はまだ非常に弱い堤防の箇所を、とりあえず危険を回避するという意味で補強をしていただいている段階だというふうに理解をいたしております。
以上でございます。(「吉野ヶ里は週刊誌をにぎわせた宗教団体がねらっていたとうわさがありますよ。売らんで県が持っとっていただきたい」と呼ぶ者あり)
9 ◎内川修治君(拍手)登壇=それでは、再度質問させていただきます。これは知事のほうに二点お聞きしたいと思います。
多分、昨日だったですかね、
吉野ヶ里公園近くに王仁神社というのがありますよね。この王仁神社というのは非常に歴史的にも大変重いものがありまして、多分これは古川知事も認識されていると思いますけれども、特にこれから海外のほうから吉野ヶ里等々について、いろいろ観光客とか、あるいは親善とかいう、そういったスタンスにおいても非常に私は大事なポジションだと思うんですね。
だから、こういうところはぜひ、先ほど私が申し上げたような草ぼうぼう、竹やぶぼうぼうとか、あるいは公共工事で出されているいろんな残土というか、そういうものに囲まれてしまっている状況なんですね、王仁神社が、極端に言えば。だから、何とかその辺を考えていただいて、対応していただきたいと思いますけれども、知事のお考えをお聞きしたいと思います。
それともう一つ、ダムの問題ですけれども、今、
牟田本部長さんからよくわかるような説明をいただきました。ただ、一つだけ知事にお聞きしたいのは、城原川の基本高水流量六百九十というこの数字、いわゆるデータですね、国が一度出されたデータというのはなかなか修正はきかないような気がするんです。知事も当然、官僚であられましたから、その辺はよく御理解いただいていると思いますが、ただ、私は一度出されたデータであっても、検証を重ねることによって、データに、間違いとは言わないけれども、修正する必要性があると認識された場合、やはり国は、そのデータの修正を図るべきだと私は思うんですが、その辺について知事のお考えを聞かせていただきまして、私の質問とさせていただきます。(拍手)
10 ◎古川知事 登壇=内川議員の再々質問にお答えします。
まず、王仁神社の周辺の状況でございますが、私もあの王仁神社の持つ歴史や経緯からすれば、今の状態が望ましいものとは考えておりません。こうしたことを含めまして、
吉野ヶ里公園、そしてニュー・
テクノパーク、また神埼市の持つ歴史、文化的な価値というものを一体となってどのように考えていけばいいのかということについて、先ほど本部長が答弁申し上げましたように、なるべく早く構想を立てていきたいと考えているところでございます。
それと、城原川の治水対策についてのお尋ねでございますが、確かに国が一たん決めたものを見直すのは難しいというのは、一般論としてはそのとおりであろうと思います。ただ、今さまざまな公共事業というか、大型事業を一本一本見直すという取り組みが行われてきております。私どもは、その中に入って、前提が変わっていけば、いろんな過程が変わっていけば、その中で答えが変わってくるということも、もちろんあり得るだろうと思っております。
ただ、私どもは、かつて昭和二十八年の水量などについて国から説明を聞き、私どもも納得した上で住民の方々に御説明をこれまで申し上げてきたということがございます。仮に、その内容が変わっていくとするならば、前の前提はこうであったと、それがどういう考え方で変わっていったのかということをきちんと私どもにも示していただかないと、私どもは、じゃあ何をもって説明するのかということになるだろうと思っております。
これについては、これまでの経緯等もありますけれども、今回新たに検証の場が設けられたということで、そこにおける議論をしっかり聞いて対応してまいりたいと存じます。
以上でございます。
11 ◎石井久起君(拍手)登壇=皆さんおはようございます。自由民主党の石井久起でございます。この四年間、議会にお世話になりまして、今期最後の質問となります。
先ほどから
城原川ダムにつきます、また治水対策についての御議論があっておりますけれども、このダム事業の中で、私は思うんですけれども、なぜ、このダムが必要かということ、それは流域住民の命を守るためなんです。先ほど、六百九十トンが高過ぎるという話がありましたけれども、六百九十トンは我々の流域の命を守る最大の安全度なんです。それを下げるということは、安全を低下させるということでありますから、私は流域住民として、その命を守るための一つの指標として受けとめております。
これまでも議論をいろいろさせていただきました。ダムの反対、賛成、いろいろあるでしょう。しかし、ダムを反対する人たちの意見の中に、私が一つ疑問に思うのは、あちらこちらでいろんな事業のことについて命の話をいつもされますけれども、この
城原川ダム流域の皆さんの命の話はされません。なぜなんですかね。環境のことは言われますけれども、ダム流域に一万人住んでいる、この命の話はない。私は、そこに疑問を持っております。
これぐらいにしまして、質問を始めさせていただきますけれども、
城原川ダム事業にかかわる地域振興整備事業についてということで質問します。
城原川ダム事業につきましては、昨年の九月、国土交通大臣より検討主体となる
九州地方整備局長への検証に係る検討が指示され、十二月二十一日、
関係地方公共団体からなる検討の場が開催されたところであります。検討の具体的な進め方などについては議論されておらず、見通しが立たない状況にあります。
先ほど議論がありました
城原川ダム堤防の弱体化、これは私も当日は見てまいりましたけれども、よく言うゴルフ場のバンカーですかね、あのような砂質で堤防がつくられておりました。そういった弱体化ですね。さらに、基本高水六百九十トンから五百四十トンへの安全度の低下など、城原川流域の住民を恐怖に陥れるような議論がなされるのではないかという不安がつきまとっております。
このように、検討の進め方もスケジュール等も議論されない中、正式な検討の場の開催も未定でありまして、結論に至るまでには相当の期間を要することは非常に危惧をするところであります。
地元住民は、ダム計画表明から四十年も翻弄されてきており、さらに長期化することで、これまで以上の憤りは隠せません。水没地区内は、これまでダム計画があるとのことで日常生活に直結するような身近な公共事業まで先送りされてきたため、通常の生活を営む上においても危険、不便を強いられ、さらに降雨時の土砂崩れなども心配され、安全・安心も脅かされるような状況下に置かれてきていること、それがさらに長期化することになる。地域は高齢化が進み、待ったなしの状況です。せめて人間らしい暮らしができる環境を整備していただきたい。
先日、この地域内の御婦人が坂道で滑られて、骨折をされました。もちろん本人の不注意もあるかもわかりませんけれども、こういった状況は、やはり地域の中のそういったインフラ整備ができていない、いわゆる行政責任も私は感じるものでありますので、ここで御紹介をしていきたいと思います。
私は、これまでも長期化していた
城原川ダム事業について何度も質問をいたしまして、昨年の九月議会で、「水没予定地区の生活環境等の改善について」及び「県道三瀬神埼線の整備について」質問を行い、県からは、「地域の防災施設など、住民の安全・安心につながる必要不可欠な生活基盤については地元の意見を聞きながら、国や神埼市とも連携し対応をしていかなければならない」と答弁をいただいております。水没予定地区の改善について、前向きな対応を約束していただいたという考えを持っているところであります。
このような中で、水没予定地区住民団体は、土砂崩れなどから生命を守る砂防整備事業や急傾斜地崩壊対策事業、さらには日常生活に直結する道路整備や水路整備を初めとする十九項目にわたりました地域振興事業を取りまとめて、今月の十七日に古川知事あてに要望書を提出したところであります。
そこで、次の点についてお伺いしたいと思います。
県として、この地域振興に今後どのように対応していこうと考えているのかお尋ねいたします。
まず現状の認識であります。
到底、現代の人間が生活できるような環境ではないということを考えています。そこで、今回、十九項目の環境整備を要望しておりますけれども、その内容についてどう対処をしていくのか。
また、事業の進め方として、国、市との協議の場を急ぐべきと考えておりますけれども、いつごろになるのか。
最後に、予算の確保でありますけれども、ダム事業と切り離して、この地域の安心・安全を最優先にして、この四十年間の公共事業空白期間を埋めていただきたい。今回の要望は、地元の悲痛な叫びとして受けとめていただきたいと思います。御回答をお願いしたいと思います。
次に、本県の人口減少に係る問題について質問してまいります。
まず、日本の総人口は二〇一〇年の一億二千七百十八万人から二〇三〇年には一億一千五百二十二万人と、二十年間で約一千二百万人、九・四%が減少すると予測されております。一千二百万人という人口規模は、九州地方千三百十四万人の人口と同程度でありますから、わずか二十年で急激に人口が減少することがよくわかります。
佐賀県の人口についても、二〇一〇年の八十六万六千人から二〇三〇年には七十四万四千人と、二十年間で約十二万人が減少することが予測されておりますけれども、この数は、今の合併した唐津市の人口に非常に近いものであります。これが約一三%ですね、十二万人というのは。比率から見ると、県のほうが国の人口減少のスピードよりも速いスピードで減少していくということが言われます。
人口減少は、自治体の根幹を揺るがす大変重要な課題であります。将来を見据えた真剣な議論をしていただき、対策を講じることが必要だと考えますので、そういった問題に関連して質問をさせていただきたいと思います。
まず、少子化に係る子育て支援でありますけれども、労働力人口の減少、地域活力の低下、ひいては社会制度そのものが成立しなくなってしまうおそれのある人口減少、この問題の流れを食いとめることは喫緊の課題であります。
人口減少問題の根底には、少子化の問題があります。一人の女性が一生の間に産む子供の数の平均を示す合計特殊出生率は、全国平均では一・三七、佐賀県では全国平均よりも高い一・四九ということでありますけれども、人口を維持するためには二・〇七を維持しなければなりませんが、国も県のほうもその水準は大きく下回っております。
少子化の与える影響として、幼稚園の経営が厳しくなります。小学校では、学年一クラス三十五人以下の学級も増加する状況にあります。私の小学校、西郷小学校が近くにありますけれども、全学年、もう一クラスという状況です。十年前は三クラスありましたのが、もう本当に一クラス。今回、三十五人学級になりますけれども、それにも届きません。ことしの新しい新入学生が二十六名という状況です。それほど地域の中は子供たちが減っています。
子育て支援は、少子化であろうとなかろうと、行政の責任の範囲の中でやるものでありまして、将来の日本を支える大切な人材として育成支援をしていかなければなりません。これは当然のことでありますが、急激な人口減少が予測される中で、少子化の原因、まずこれを探りながら、少子化の進行をとめて、さらには出生数を上昇させていく。人口減少問題の解決を図り、活力のある社会基盤をつくっていかなければ、地域の自治体は壊滅してしまうというふうに思います。
県では、少子化の流れを変えるために、次世代育成支援対策推進法に基づきまして、佐賀県次世代育成支援地域行動計画を策定されております。「子育てにやさしい社会を創る」を目標に掲げ、「子育てと仕事の両立支援」、「地域における子育て支援」等の基本施策を実施されております。
県民の意識調査によりますと、理想の子供の数を産もうとしない理由に、子育てそのものに対する負担感、仕事と子育ての両立の負担感が多く挙がっております。やはり安心して産み育てる
環境づくりのために、子育て支援が一番重要な課題であると考えております。
そしてまた、逆に、子供二人以上欲しいという夫婦が圧倒的に多い。これは非常に救いであります。これまで子育て支援等は、いろんな政策をやってきましたけれども、視点を変えた政策がこれから必要になってくるんじゃないでしょうか。今までの子育て支援の事業から、いろんな御意見を聞いて、将来の実情を見て、そういったものを加味して、新しい時代の子育て支援をつくっていく、これが大切だと思います。
私は、基本的には、三世代同居家族をふやす政策が一番だと思っておりますけれども、あるいは晩婚化が進む中での婚活支援、こういったものに積極的に自治体がかかわっていく。昔は、おせっかいおんじさんとか、おばっちゃんがおって、仲人役をしてくれて、いろいろ男女をひっつけてもらう人がおったんですけれども、そういったこともなく、地域がそういう状況じゃないということでありますから、やっぱり自治体やいろんな団体がこういった婚活の支援をやっていくことも、私は大変必要だと思います。そういった認識を持って、新しい時代の子育て支援といいますか、そういったものを考えていくべきだと思います。
それで、これまでの子育て支援の取り組みはどのようにやってきたかということをお伺いしたいと思います。実績や成果があればお伺いします。それから、これからの子育て支援についてどのような点に力を入れて取り組まれていくのか。
先ほど申したとおりでありますけれども、いわゆるこれまでの子育て支援で少子化を食いとめることができるのか。ここは、こども未来課が、まさにこの未来課という名のとおりに、未来を見据えた斬新な施策を、やっぱりこれから真剣に取り組んでもらいたいと思います。出生率二・〇七で維持される。しかし、今は一・四七。毎年、〇・〇一%ぐらいでもいいから、目標値を決めて、少子化からの反転を図っていただきたい。私は、こども未来課の健闘をお祈りしたいと思います。
それから、次に参ります。
人口減少社会における産業人材の確保ということで質問をいたします。
我が国は、急速な少子・高齢化による人口減少局面にあり、総人口の減少に伴い、十五歳から六十四歳までの、いわゆる生産人口も減少しております。国立社会保障・人口問題研究所の推計によりますと、本県の人口は平成七年に八十八万四千人であったものが平成二十七年には八十二万九千人に減少し、生産人口についても平成七年の五十六万七千人から平成二十七年には四十九万人に減少すると予測をされております。
人口減少社会については、GDP──国内総生産を減少させ、国力を衰退させていくとの悲観的な見方もあれば、生産性を向上させるチャンス、豊かな生活を享受できる社会への転換のチャンスであるなどの期待を込めたものまで、多様な意見がありますけれども、この佐賀県においては、都市部への集中が進みまして、地方の過疎化や衰退化が進むのではないかと心配をしております。
このような中で、本県が今後とも持続的に発展していくためには、将来を見据えた戦略的な産業振興策とともに、それを支える人材の育成、確保が重要であると考えます。労働力の絶対的な不足が懸念される中で、県においては県民の就職支援と県内企業の人材確保の両面から対策を講じていく必要があると考えます。
具体的には、県民一人一人の職業能力の向上や、求職者と求人側とのミスマッチ解消に努めて人材を確保する必要がある。特に、社会進出が著しい女性労働力の活用を図るべきであると思います。ここは非常に大切なところだと思います。
女性、働く人が少子化については非常に真剣に取り組んで、子供をたくさん育てながら、自分も仕事をしたいというのが、何というんですか、データの中にあります。
また、特別な技術やノウハウを持つ高度産業人材やグローバル人材については、県内での育成はもとより、県外からのUJIターン者等の積極的な活用などによりまして、県内企業の人材確保を支援すべきであるというふうに考えます。
ちょっと一例を申し上げますけれども、こんなことがありました。ことしの高校の新卒者でありますけれども、男子生徒、県外に就職いたします。家族は母一人、子一人です。自分は県内に残って、このお母さんと一緒に暮らしたいという希望があって、県内に就職を希望しておりましたけれども、自分はどうしても電気の技術士になりたいんですね。ところが、その企業は佐賀県にないわけですよ。ですから、彼は中京方面の大きな大手の電気会社に入りましたけれども、彼が言うことには、将来、自分が一人前になったら、母親を呼びたいと、一緒に中京で暮らしたい。ここが今の佐賀の弱いところだろうと思います。
そういった状況の中で、県内の産業人口を確保していかなければなりませんが、私たちは何をするか、何をしなければならないか、この佐賀県の産業の層をもっともっと厚くしていって、高校や大学の新卒者が佐賀県にとどまってもらうような施策を私は打っていかなければならないと考えております。
そこで、現在までの県内における労働力の状況がどうなっているのかをお伺いしたいと思います。
それから、産業人材の確保に係る取り組み状況はどうなっているのか、また、今後どのように取り組んでいくのか。さきに質問しましたことを踏まえまして、御答弁をお願いしたいと思います。
次に、企業誘致の推進についてであります。
二月二十一日に、内閣より公表された最新の月例経済報告によりますと、「景気は、持ち直しに向けた動きがみられ、足踏み状態を脱しつつある。」とされております。企業の業況判断は慎重さが見られるものの、企業収益は改善しており、設備投資は持ち直している。また、輸出、生産は持ち直しの動きが見られるとされていることから、企業の生産活動は厳しい中にも、やや明るさが見えてきたのではないかと認識をしております。
活力のある企業の生産活動は、地域経済を活性化させることから、優良な企業を県内に誘致することが必要であります。そのための企業誘致は、県内の景気浮揚に最も効果的な施策であると私は考えております。
一例を挙げれば、県内で企業集積が進む鳥栖市、国勢調査によりますと、最近五年間で人口が四千三百四十六人の増加が見られております。また、平成十九年度には企業からの税収により、普通交付税の不交付団体になっております。これらは、企業誘致のたまものだと認識をしているところであります。
企業誘致は、地域に雇用の機会を創設することで定住人口をふやし、また、経済波及効果により地域の活性化に資する有効な施策でありまして、リーマンショック以降の景気低迷と厳しい雇用情勢下にある今だからこそ、やっぱり積極的に、精力的に私は取り組むべきだと考えております。
そこで、次の点をお伺いしたいと思います。
企業誘致の戦略についてであります。
リーマンショック以降、厳しい経済情勢でありますが、より効果的な企業誘致活動を展開していくためには、本県が目指す姿、これを描き、どのような業種をターゲットに、どのような手法で臨むかなど、戦略、戦術が必要と考えます。ここをお伺いしたいと思います。
特に、対象業種としては、産業用ロボットや電子部材、または今、世界的に注目されている水ビジネスですね。いわゆる膜、スクリーンですか。そういったものに関連する産業などは有望ではないかと思います。
県として、どのような戦略、戦術で企業誘致の活動に取り組んでいるのかをお伺いしていきたいと思います。
次に、既にある立地企業の、いわゆるフォロー、後押しについてお伺いしたいと思います。
経済情勢が大変厳しい中で、企業誘致活動の効果を高めるには、県外企業に新規に立地勧奨を行うことに加えて、既に県内に立地している企業へのきめ細かいフォローアップも必要であると考えております。
例えば、事業拡張のために用地が必要になった企業に対して、用地確保の支援を行うことや、人材確保が必要な企業に人材育成に向けた支援を行う。また、企業が新たな分野への進出や技術革新のための資金調達等、そういったものをぜひお願いしたい。
先ほど言いましたが、高校生の新卒者が県外に出ていかなくても、この県内にとどまって仕事ができる、そして、家族と一緒に幸せに暮らせる、そういったことまで含めて、私はこの企業立地の大切さ、産業のいわゆる層の広がり、そういったものを思うわけでありますから、ぜひこういったフォローをやっていただきたい。そのフォローをこれからどのように取り組んでいくのかをお伺いしたいと思います。
それから、五問目ですかね。先ほど、内川議員のほうから
吉野ヶ里ニュー・
テクノパークの利活用についてとか、いろいろありましたけれども、私も、多分重複するかもわかりませんけれども、同じ質問をさせていただきたいと思います。
まず、利活用方針を早急に決定していただきたいということなんですが、それを知事さんに、どういう認識であるのかお伺いしたいと思います。
吉野ヶ里ニュー・
テクノパークの構想が、事実上頓挫いたしまして二十年以上の長い年月が経過しました。昭和五十八年から、もう既に三十年近くなっているんですよね。先ほどありましたように、ここの簿価が三十三億円ということでありますけれども、この二十何年間の利息を計算したら、とんでもない数字になります。それを考えると、早急にこれは解決しなければならない問題であります。
この間、その利用のあり方について、いろいろと検討はなされてきたようでありますけれども、結局はきちんとした利活用の方針が決まっていない、それは認識しております。
先ほどお話がありましたように、
吉野ヶ里歴史公園の景観とは全くそぐわない。そのほとんどが、いわば野ざらしの状態であります。そのことについては、先ほどもお話がありましたように、住環境の悪化を懸念する近隣住民の声を私も聞いております。たまに使うのは、九年庵のシャトルバスをここにとめて行くというぐらいの利用しか今されておりません。非常にもったいないところであります。
地域活性化のためや地域の雇用拡大のためにと土地を手放された地権者や、もとより地域の方々ですね。例えば、東山地区とか、あそこは竹原地区、そういった方々が、この地域をどのような目で見ているんでしょうか。私は、大変残念に思われると思います。すばらしい
吉野ヶ里歴史公園の隣に、ああいったやぶがある。そういった状況では、非常に悲しい現状だと思います。
当地区は、農村地域工業等導入促進法、いわゆる農工法によって地区指定を受けて、農業振興地域の地区除外も受けております。利活用方針の決定がない中で、今日までその状況が続いているわけでありますが、先ほどもお話がありました。現在、神埼市において、県の支援や指導を受けながら、国道三八五号線沿いの一団の農地について、工業団地としての開発を計画しておりますが、農振除外について九州農政局との協議を行っていますが、不調です。
吉野ヶ里ニュー・
テクノパークが既に農振除外を受けておりまして、手つかずの状態になっていることが、今回の開発計画の支障になっております。なかなか先に進めない状況でありますので、私としては、この農工法の適用除外をお願いしたいと思います。
こういった状況を踏まえまして、県としてできるだけ早期に
吉野ヶ里ニュー・
テクノパークの利活用の方針を決定していただいて、
吉野ヶ里ニュー・
テクノパークの将来の姿を、市民はもとより県民に示すべきと考えておりますけれども、知事の所見をお伺いいたします。
それから、利活用の方針の決定に当たっては、早速といいますか、早期に検討組織を立ち上げていただいて、具体的な検討をお願いするものであります。いつまでに決定をするのか、私は決定の時期を明確に示してほしい。県として、これまで利活用方針の決定の目標時期を具体的に示さなかったことが、今日までずるずる来ているわけですから、ここはやはり県の責任としてやってほしいんです。
私は、昭和六十一年に神埼の町議会に当選いたしました。当然、ここに
神埼工業団地ができるものと思っていたんですけれども、御存じのように、
吉野ヶ里歴史公園に変わりました。それについては、別に何の異論もありません。ただ、そのときに買った工業団地六十四ヘクタールのうち約二十七ヘクタールが残っているわけでありますから、それがもう既に二十数年たっている。そのときに買収したのが、大体一反一千万円ぐらいじゃなかったんですかね。ですから、三十億円ぐらいの数字になっていると思うんですよ。それを二十年間塩漬けにしているわけでありますから、私は早急に解決していただきたい。神埼の言葉で言うと、「あそこにあがんしとっぎんた、みたんなか」わけですから、きれいな利活用をぜひお願いしたいというふうに思います。
それから、最後ですけれども、夢のような、実現できるような話じゃないかもしれませんけれども、私がこの四年間でいろんなところに視察に行って、地域の活性化とは何か、そういったものを総合して考えてまいりました。いろんなやり方がありますけれども、その一つとして、私は私鉄電車の導入ということで質問をさせていただきたいと思います。
本県でも、今後も人口減少が進んでいくことが予測されておりますけれども、福岡県のベッドタウンとして人口が集積している東部地域においても、現状のままでは人口減少が進みまして、地域の活力が失われていくことが懸念されます。
今回も、買い物難民の話や高齢者の話、いろんなものがありました。地域はどっちに向かっているかと、右肩上がりに上がっていないんですね。どちらかというと疲弊が進んでいるというふうに僕はとらえております。
また、これまで通勤や通学の移動手段として地域の発展を支えてきたJR長崎本線については、将来、九州新幹線西九州ルートが運行されるがために、地域の足として本当に役に立つJR長崎本線なのかという懸念も私自身がしております。
このために、人口の集積や産業の振興などにおいても、波及効果が極めて大きな、いわゆる私鉄電車といいますか、電車の導入をお願いしたいと私は思うんですよ。県東部地域に周回させる将来構想を描けないかと考えております。
幸い東部地域は、鉄道用地として利用することができる耕作放棄地などが多くありまして、また、ほかの地域と比較して、それほど今のところは人口は減少しておりませんので、一定の利用需要が見込めるんじゃないかと思います。
周回のルートとしては、例えば、西鉄大牟田線の小郡市あたりで分岐をしていただいて、鳥栖市、みやき町、そして吉野ヶ里町、神埼町、大和町。そして、大和町から真っすぐ南に下って佐賀駅、市役所、県庁前。そして川副、有明佐賀空港、もっと南下して再び西鉄大牟田線の蒲池駅あたりですか、あの辺に結ぶ環状線、いわゆる山手線のような雰囲気と考えてもらったらいいと思うんですけれども、そういった環状線を考えられないかと思っています。
このような構想は、広大で、実現が困難だということは、私も十分承知しておりますけれども、今これだけ閉塞感に包まれた現状の中で、将来を見据えた夢のある構想も、やはり考えるべきだと思っております。
私は、この話をしたのは、半年ぐらい前なんですけれども、今、佐賀の市会議員さんたちと一緒になって、この話をしております。佐賀市も定住人口がどんどんどんどん減っています。特に、やっぱり中心部の人たちが定住しなくなってしまっているということ、本当にもったいない土地がたくさん残っているわけですよ。それをこれから県、市とかが買うていかんばいかんわけですね。そういったリスクがこれからたくさん出てくるわけですよ。だから、彼らはそういうことも考えて、やはり佐賀市内にもこういった公共鉄道、こういったものを含めたものをぜひ誘致をしたいということを考えて、今考えが一致しております。
ですから、将来の佐賀県の東部地区に限らず、この佐賀全体にとっても、こういったいわゆる電車といいますか、そういった新しい公共交通機関を導入すべきだと私は思います。
鉄道は、環境にも優しい公共交通機関でありまして、その導入が実現すれば、東部地域の利便性、あるいは高齢者に対する利便性などが飛躍的に伸びると思います。
そして、福岡県と佐賀県の人、それから物や文化ですね、そういったものの交流が活発になりまして、さらに、大事な有明佐賀空港に結ぶことによりまして、福岡県の南西部の皆さん、それから、そういった利活用がもっとできるんじゃないかという考えを持っておりますので、知事の御所見をお伺いしたいと思います。
以上で六問質問をさせていただきましたが、皆様方の意のある回答をよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。(拍手)(「長崎新幹線の開通よりも必要よ。そっちのほうが重要性がある」と呼ぶ者あり)
12 ◎古川知事 登壇=石井久起議員の御質問にお答えします。
まず、
吉野ヶ里ニュー・
テクノパークについてでございます。
議員もよく御存じのように、当初、平成十五年度から十六年度にかけて、このニュー・
テクノパークをどうしていくかということについて、公園化の基本構想の検討を行いましたが、この当時、緊急プログラムの策定期間中であったということや、公共工事型の公園化というものを今行っていく必要があるのかという議論を内部でいたしまして、この
公園化基本構想については、私どもの認識としては、今もう県のものにはなっていないというふうに考えております。
したがいまして、
吉野ヶ里ニュー・
テクノパークをどのようにしていくのかということについては、新たに検討組織を立ち上げなければならないと考えております。
全庁横断的な組織を可能な限り早く立ち上げるということについては、先ほど内川議員にもお答え申し上げましたが、各本部の代表者が集まって行う会議をするというだけではいいアイデアは生まれてこないであろうと思っております。ぜひとも、県庁のいわば組織を挙げてといいますか、職員の一人一人が持っているネットワークやいろんな人たちの知恵をおかりして、このいい場所をどう使っていくのかということについて、いわば英知を集めていきたいと考えておりまして、ただ単に検討会議を設置してということではなくて、一人一人の職員がいわば自分のネットワークで、どがんしたらよかろうかねというふうな声を聞いてきたものも含めて、また、荒唐無稽のようなものも含めて、まずはいろんなものを集めて、その中で考えていくということをしていかなければ、なかなか私どもだけで知恵が出てくるというものではないんではないかなと思っているところでございます。
今議員からの御質問は、いつまでにまとめるのか、時期を示せということでございましたが、私の任期も今任期は四月二十二日まででございますし、これについては、また新しい任期の知事のもとでできるだけ早くということでお願いできればと思っているところでございます。もちろん、そうしたものをやっていく中で、地元神埼市や関係者の意見も聞きながらということになっていこうかと思っているところでございます。
確かに、この場所は非常に可能性のある、いい場所だと思っております。私個人的な思いとしては、やっぱり歴史、文化、教育、そういったものと何か関連あるものがないだろうかというふうな気持ちはありますものの、それについてはぜひ、もう全くゼロからの議論をお願いしたいと思っております。
次に、私鉄電車の導入についてでございます。
これも大変、これもというか、これについては夢のある御提案だと受けとめをさせていただきました。私も鉄道の重要性については非常に感じておりますし、私自身も移動する際には、なるべく鉄道を使うということを心がけて、公務の仕事をする際にもできるだけJRや電車を使うということを行っております。それだけに、これからの社会の変遷を考えたときに、さらに鉄道を整備していくということについての重要性は、私もよくわかっているつもりでございます。
構想案を拝見させていただきますと、例えば、鳥栖から大和を通り佐賀まで、JR長崎本線にいわば並行するような格好で新線というふうなところもございましたが、ずっと拝見していて思いますに、確かに、天神を出発した、昔の言い方だと急行電車と言っていたと思いますけれども、急行電車が佐賀県を全く通らずに久留米、大牟田まで行っているわけでありますけれども、そうしたものにうまく分岐をさせて、佐賀県内に入らせれば、福岡都市圏と佐賀県内の連携、特に天神に直結できるという点で非常に交流が増すんではないかというふうなところでありますとか、残念なことに国鉄佐賀線が廃止になっておりますけれども、もともとは、筑後地域と佐賀地域を結ぶ鉄道というものはあってもよいのではないかとか、また、いろんな方が議論されておられます有明佐賀空港と鹿児島ルートを結ぶ何らかの鉄道があってもよいのではないか。それは、例えばモノレールであってもよいし、場合によっては新幹線の筑後船小屋駅から新幹線の規格でつくっておけばよいのではないか、こうした議論というものもあると伺っております。
議員からいただきました、この私鉄の導入というものを私どもも参考といたしまして、これからの地域に必要な、また発展の役に立つ鉄道の利用というものについて研究を重ねさせていただきたいと思います。
あすから直ちにというわけにはいきませんけれども、まさに議員からの御指摘というものは非常に肯綮に当たっているといいますか、非常に御指摘については正しいと思っているところでございます。
私からは以上でございます。(発言する者あり)
13 ◎古谷くらし環境本部長 登壇=石井議員からの御質問のうち、私からは少子化に係る子育て支援について御答弁をさせていただきます。
まず、これまでの子育て支援の取り組みについてでございます。
少子化問題は、我が国の社会経済の持続可能性にかかわる課題でございます。これはもう御指摘のとおりだと思います。
子育て支援は、単に子供を産んで、育てやすい環境にするというだけではなく、やはり次代を担う子供たちを育てるという未来への投資として社会全体で取り組んでいかなければならないものだというふうに認識をいたしております。
県では、平成十七年に次世代育成支援地域行動計画を策定いたしまして、「子育てと仕事の両立支援」を第一とし、五つの基本施策に基づきまして、少子化対策として子供に関する「保育」、「
福祉」、「医療」など、さまざまな施策の推進に取り組んできたところでございます。
その結果、平成十八年度から五年連続で、四月一日時点での待機児童ゼロを達成したことや、必要とされるすべての保育所での延長保育が実現したこと、あるいは放課後児童クラブを必要とされるすべての小学校区に設置した、そういったことなど、子育て支援について一定の成果を上げることができたというふうに考えております。
また、所属長などを対象に、メンタルヘルスに関する正しい知識や精神疾患を患った職員への具体的な対応方法など、わかりやすく事例を交えた研修を行い、心の病への対応の仕方を高める取り組みも行っているところでございます。
県民サービスを担うのは、職員一人一人であり、心の健康を含む職員の健康管理については、今後もしっかりと取り組んでいきたいと考えております。
次に、職員のやる気創出についてお答えいたします。
議員御指摘のとおり、職場内でのコミュニケーションが円滑にでき、職員がやる気を持って生き生きと仕事ができる、そういった職場づくりが何より大切と考えています。
このため、コミュニケーション能力の向上や、やる気創出の取り組みとして、これまで上司と職員が一対一で面接する育成面談の実施や、意見を出しやすい職場づくりを学ぶ所属長研修などを実施してきたところでございます。
今年度は、これまでの育成面談やコミュニケーション能力向上等の研修会に加えまして、新たに、例えば、ベストセラーとなりました「日本でいちばん大切にしたい会社」の著者の坂本光司氏や、世界で初めてサンゴの養殖に成功した金城浩二氏などを直接お呼びいたしまして話を伺うといった職員のやる気が出てくるような研修会を実施しているところでございます。
また、昨年度から取り組んでおります「SMILE(スマイル)プロジェクト」、これは職員がみずからの業務について、質の向上や効率化などの業務改善に取り組んでいるものですが、先ほど知事も答弁の中で触れられましたが、職場で議論や意見交換を行いながら進めていく、その過程の中で職場単位でのコミュニケーションの活性化にもつながっているといったことが出てきております。
そういったことから、今年度は業務改善という観点だけでなく、何でも話ができる、働きやすい職場風土、組織風土づくりの面も意識して、今、この「SMILE(スマイル)プロジェクト」に全所属で取り組んでいるところでございます。
今後とも、こうした取り組みを重ねながら、風通しのよい、生き生きした職場づくりを目指していきたいと思っております。
以上、お答えいたします。
32 ◎川崎教育長 登壇=発達障害者の支援についてのうち、県教育委員会におけます取り組みについてお答えをいたします。
発達障害児につきましては、御指摘がありましたように平成十九年四月に施行されました学校教育法の一部改正によりまして、小中学校等におけます支援が法律的に位置づけられましたが、私ども佐賀県では、発達障害児への支援を喫緊の課題としてとらえておりました。
そういったことで、法改正に先立ちまして、平成十六年度から、教職員の専門性向上のための研修や、専門家の小中学校等への派遣に取り組んできました。
そして、平成二十年四月には、佐賀県特別支援教育推進プランを策定し、以降、このプランに基づきまして支援の充実を図っているところでございます。
この間、発達障害児を対象といたしました個別の指導を行う通級指導教室の設置数は、平成十八年度の四教室から平成二十二年度には二十八教室へと大きく増加しております。
発達障害児につきましては、早期発見、早期支援が大切でありますことから、幼稚園や保育所への支援を強化いたしまして、就学前から高等学校まで支援を継続していくことが重要であると考えております。このため、幼稚園を含みますすべての学校におきまして、すべての発達障害児を対象に個別の教育支援計画を策定し、継続的支援ができる体制づくりを進めております。
また、こうした取り組みを推進していく上で、保護者の理解が不可欠でありますことから、理解促進のための啓発を行いますとともに、相談体制の充実に努めております。このほか、教員の専門性の向上を図るため、発達障害児の支援に関する研修の充実に努めております。
いずれにいたしましても、発達障害児への支援に当たりましては、特別支援学校や医療、福祉などの関係機関との連携協力が何よりも重要であると考えられます。これら関係機関と協働しながら、発達障害児の自立と社会参加に向けて、しっかりと支援してまいる所存でございます。
次に、産業人材育成と職業観・勤労観の育成についてのうち、職業観、勤労観の育成についてお答えをいたします。
去る一月三十一日に中央教育審議会が出しました「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について」の答申の中で、若者の現状について触れております。それは、「『学校から社会・職業への移行』が円滑に行われていない。」、「『社会的・職業的自立』に向けて様々な課題が見られる。」、このように指摘した上で、「若者個人のみの問題ではなく、社会を構成する各界が互いに役割を認識し、一体となり対応することが必要。」といたしております。また、「その中で、学校教育は、重要な役割を果たすものであり、キャリア教育・職業教育を充実していかなければならない。」とうたっているところでございます。
現在、学校におきましては、学習指導要領に基づきまして、児童生徒一人一人の発達段階に応じて、社会的、職業的自立に必要な基盤となります能力や態度を養成しますとともに、こうした能力と態度の育成を通じて、職業観、勤労観を形成し確立させる教育に取り組んでおるところでございます。
中学校段階では、実際の職場で働くことで、職業や仕事を体験したり、働く人と接したりする職場体験を実施することで、働くことの意識づけを行っております。
また、高等学校段階では、各教科・科目の学習を将来の生活と結びつけたり、インターンシップ──職業体験を通じて、社会や職業を理解させる取り組みを行っております。
とりわけ、就職を間近に控えました高校三年生に対しましては、企業の採用担当者や卒業生などを学校に招きまして、企業が求める人材がどういうものであるのか、働く上でどのような姿勢、心構えが必要であるのかなどにつきまして、学ぶ機会を設けておるところでございます。
今回、新しく中央教育審議会の答申があったことから、改めて現在の取り組みを点検、検証し、児童生徒の一人一人が確かな職業観、勤労観を持ち、しっかりと社会的、職業的自立ができますよう、キャリア教育、職業教育に努めてまいる所存でございます。
33 ◎鈴木警察本部長 登壇=交通事故統計に係る不適正事案についてお答えをいたします。
初めに、不適正事案に対する認識についてであります。
今回の不適正事案につきましては、県民の交通事故統計に対する信頼のみならず、警察行政全般に対する信頼を損なうものであり、改めて深くおわびを申し上げます。
私としても重く受けとめているところでありますが、これまでも答弁申し上げましたとおり、今回の事案につきましては、まず、交通事故統計は、交通安全対策の指標として用いられるなど、県民に重要な意義を有しているものでありますが、その重要性に対する認識の不足という問題があったと考えております。
そして、今回の事案につきましては、幹部が不適切な判断、指示をしたことによるものであり、幹部としてのあり方に問題があり、また、現場の意見が反映されなかったといった組織内での意思疎通の問題、これはすなわち組織のあり方の問題でありますけれども、そういう問題があったというふうに考えております。
幹部には幹部としての見識と判断力、指導力が求められますが、このことを自覚して、みずから研さんに努めるとともに、そのあり方を自省自戒していかなければ、独善に陥るおそれがあると考えているところであります。
また、警察は治安維持の任に当たる法執行機関として、事案に対処するときには、厳正な規律と高い士気を持って、組織的な統制のもとに活動しなければならないという側面を持っておりますし、現下のように変化が激しい時代には、トップダウンで物事を進めていくことも、ある面では重要であると考えております。しかしながら、組織内部で意思の疎通を欠くようなことや、意見が言えない、また意見を聞かないというようなことがあるとすれば、士気の低下を招き、組織運営は停滞することとなりますし、適切でない結果を生じさせることにもなりかねないと考えております。
このようなことから考えますと、今回の事案につきましては、幹部としてのあり方に問題があり、また、組織内部の意思疎通が十分でなかったと認識をしているところであり、これらのことを真摯に反省して、今後再発防止を図り、県民のために諸活動を推進して、信頼回復に努めなければならないと考えております。
次に、信頼回復に向けた取り組みへの決意についてであります。
社会の安全・安心を支える警察活動には、何よりも県民の方々の理解と信頼が必要不可欠であると考えております。
すべての警察職員が、とりわけ私を含めまして幹部が、県民のために、その安全・安心を確保するという警察に求められている責務を改めてしっかりと胸に刻み、県民の期待にこたえていくことが重要であると考えております。そして、そのためには一人一人が職責を自覚して、そこから生まれる緊張感を持ちながら、真摯に職務に当たる必要があるというふうに考えております。
一たび損なわれました信頼を回復することは、容易なことではないと承知をいたしておりますけれども、今後、私自身を含めまして幹部それぞれが、みずからの幹部としてのあり方を省み、見識、資質の向上に努め、業務の進め方や、部下職員との関係のあり方をも考えながら、率先垂範してこの困難を克服し、再発防止策に魂を入れるとともに、県民の信頼回復に向けて、最大限の努力を傾注していく決意でございます。
34 ◎末安善徳君(拍手)登壇=再質問をさせていただきます。
先ほど、一番大事なことを忘れて言い損なったような気がいたしますので申し上げます。
最後の質問の、戦没者名簿の一元化についてでありますが、その中でるる申し上げましたけれども、私が入手しました資料ですが、あの太平洋戦争の末期、硫黄島とかで多くのアメリカ人がお土産、形見を家に持って帰ったと。これは硫黄島だけではなくて、どんな戦争の部隊でもありふれたことだったと。一度虐殺が終われば、勝った兵士は敵の体から遺留品を取って、特に貴重なのは、日本兵の腰に巻きつけられた軍旗だったと。日本人兵士の日記、給与支給帳、そして幾つかの白黒写真を持ち去ったと。日本人が、アメリカ人もするように、彼らの妻や子供たちの写真をヘルメットにしのばせたことなどです。それは戦争だった。そして、戦争の中でも、だれでもがそれをお土産と主張して持って帰ったということでございます。
そこで、こういう状況を踏まえ、海外や硫黄島などで収集された戦没者の遺骨や遺留品を早期に、かつ確実に御遺族のもとへ返還するためには、国において戦没者名簿の一元化をすることは不可欠であると考えます。国が徴兵して、国のために戦地に赴き亡くなられたのですから、国はこれらの遺族に対し最善を尽くすことが必要であると考えますので、この一元化について、どうぞよろしくお願いいたします。
それから、平子健康福祉本部長に再度質問ですが、テレビですね。七年でペイするということですが、入院しておられる患者さんに七年間だけ負担をさせることと思いますけれども、先ほどの答弁を聞きましたら、五十円を百円にするということですが、どこでもあっているということで、比較して決して高いものじゃないということですけど、新館になってから、その工事をしてもよかったのではないかと私は思っております。
何で今、もう一年か二年かしかない旧館の今の県病院に、これをしなければならなかったのかという疑念を持っておりますので、再度、これはお尋ねです。答弁をお願いいたします。
私、最後ですけれども、県議会関係の方々、執行部、議員の皆様の御苦労に対して敬意を表しまして、皆様の御活躍、御健康を祈念いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)(「戦争の教訓を生かしたら、プルサーマルは再開しないでください。犠牲者が出ます」と呼ぶ者あり)
35 ◎平子健康福祉本部長 登壇=テレビシステムについて再質問がございましたのでお答え申し上げます。
ここで問題の補足をいたしますと、これまでの問題点というのが、今ついているテレビは、各階のデイルームに一台設置しておりますが、なかなか体調がすぐれない方はデイルームまで行って見られないとか、あるいは十インチまでのテレビの持ち込みは可としているようですけれども、各病室にはテレビの受信設備がなく、別途アンテナを設置してからでないとテレビを見ることができないなど、多くの方々から、こういった施設について充実をしてほしいという要望が多かったということでもあり、また、他の公的病院や国立病院、大学病院と比較しても、同規模のものであれば、こうした設備というのが充実されておりまして、療養環境の充実には、好生館のような高度医療機関にとっては、既に必要不可欠な状況になっていると考えられることから、こういったテレビシステムについて、新病院の移転の前であったとしても、なるべく早く要望にこたえられるようにということで導入されたということでございます。
私のほうからは以上でございます。
36 ◎原口義己君(拍手)登壇=(「最後だ、頑張れ」「余り頑張らんでよかばい」と呼ぶ者あり)平成二十三年度当初予算を審議する二月定例県議会も一般質問最後の場になりました。その最後も、私にとっては格別のものがあります。
と申しますのも、私は、実は二十三歳で社会人になりました。その二十三歳で社会人になったときに、最初に入ったのは自由民主党本部の職員でありました。国会対策委員会、政調会等の職員として二年足らず働き、党佐賀県連本部の駐在員として帰ってまいりました。駐在員というのは、当時オルグでございました。
そして、代議士の秘書を経て、県会議員に当選させていただきまして、今日まで皆さん方の御支援と御交誼を仰ぎながらやってまいりまして二十八年でございます。気がつきましたら古希を迎えておりました。ですから、私は今回をもって、この政治の表舞台から退くことを決意いたしております。そういう意味では、本当に私の最後の舞台ということで、お疲れでしょうが、少々時間をいただき、皆さん方にお耳を傾けていただきますことをお願いいたしまして、まず質問に入らせていただきたいと思います。
通告どおりにはいたしませんので、あしからず。(笑声)順番ですよ。
まず、子ども・子育て新システムについての質問をさせていただきたいと思う次第であります。
実は、民主党の政権になりまして、昨年六月二十九日に政府において少子化社会対策会議というのが行われました。そして、新システムの基本制度要綱なるものが決定されまして、菅政権は、これを平成二十五年度から導入することとされておられますが、このことは児童福祉法第二条及び第二十四条に定められている、国や市町村による保育の実施が明確に義務づけられているのに、その根底から大きく覆すことをやろうとしているのではないかということであります。
つまり、市町村の保育義務をなくして、保育園入所を保護者と保育所との公的契約にすることは、保護者の自己責任となり、保護者は市町村に認定された範囲内で利用し、これを超えた利用については利用者の応益負担となり、保護者の負担は増大していくことになるのは明らかであります。
保育料は現在、保護者の所得に応じて段階的に定められており、経済的な弱者に温かい配慮がある。しかし、新システムが採用されるとなると、それが崩れて、経済的に恵まれない家庭の中には保育所に入れないところが出現し、経済的弱者の子供は排除されるのではないかと心配される家庭が出てくることは、断じて許されるものではありませんし、そのような意味において、子育てのための生きた政策とは決して言えないことを強く申し上げておきたいと思うのです。
そういう中で、知事、子ども手当、民主党のマニフェストに書いてありますとおりですが、昨年は一万三千円でしたが、いよいよ平成二十三年度から、昨年の一万三千円から二十三年度には一万六千円と二万円の二段階に分けて引き上げるという政府に対して、改革派知事の筆頭の一人として名前が挙がる古川知事、これだけは先頭に立って、地方分権推進とともに反対してほしいことを強く、政府に対してですよ、反対してもいいから、強く申し上げていただきたいと思うのであります。
もちろん、大都会では特に、本県でも大して変わりませんが、大体待機児童はそんなに問題ありません。しかし、少子化で幼稚園入園者は減少して定員割れする中で、保育所の待機児童が増加するという不均衡を、こども園として一体化し是正する、それによって待機児童を減らしていくという趣旨はよく理解するものでありますが、今回施行されようとしている新システムは、保育所への民間企業を含む多様な事業主体の参入を促進し、保育の産業化を招くことになるという傾向が既にあらわれていることを懸念し、保育内容の質の低下を招くと言わざるを得ないのであるからであります。
その意味で、保育所のつくっている保育推進連盟という政治結社があります。私は、その保育推進連盟の発足当初からかかわってまいりました一人であります。しかし、この議場で、三十年近くありましたが、私がこういう立場で保育所を保護するような、弁護するような発言はきょうまで一回もしてまいりませんでしたが、もうここに至っては発言せざるを得ないということなんであります。
なぜなら、昨年から民主党政権になって、子ども手当の議案が本会議に付託されましたね。私たちは、もっと効果的な、保育所の整備や子供の学校給食の無料化、あるいは材料費の補てんなどをする、生きた子育てに対する国民の税金投入であることを、国民は既にそのとき発表されていたようであります。
また、そうわかっていたから、私たちもそれには反対したかったんであります。しかし、最大会派の自民党は、ここで四分の三を持っているわけですから、反対いたしますと、やはり佐賀県内には子ども手当が欲しいという方々もいらっしゃるわけですから、その方に支給できない事態を招来することを考えれば、賛成という立場に立たざるを得なかったんであります。
ですから、今、私たちは、国会であれだけ対立している野党の側にありながら、地方の二元制民主政治の中において、地方議会は、やっぱり知事が提案されれば賛成せざるを得ないのが実態ではないですか。そういうことを強く申し上げる。
だから私は、今まで保育園、こども園の問題があったときにも、財源不足の折でありますから、いかにして最少の金で最大の効果を上げるかということでは、こども園に対しては一切の発言も異論も唱えてまいりませんでした。しかし、やっぱり知事はそういう姿勢でございましたから、本県では十万人当たりで全国二位という認定こども園の設置数になりましたよ。しかし、そのことについては、私は一切触れませんでしたことを重ねて申し上げます。
だが、今回のシステム施行については、政府は今、通常国会に三月に上程すると明言されておりながら、またしても、延び菅と言われるように延ばす、先送り菅と言われるように延ばされてきちゃった。この時期に、児童福祉法第二条、第二十四条により保育に欠ける子を国及び市町村の保育の実施が義務づけられる制度の実施を強く望み、公的責任の後退は決してさせない。その上で無駄な財政をなくす子育てを推進されることを、知事に対して、これからの姿勢について、どのように取り組んでいただけるのか、特にお尋ねし、提言するものであります。
ちょうど、この原稿を書いているときに、二月十九日の土曜日の佐賀新聞の──記事を読んで質問するのは国会では一番愚かな質問だと言われておりますから、このことについて言いませんが、実は論説の中に、「公的責任後退させるな 子ども・子育て新システム」という佐賀新聞の論説に書かれたんです。このことをひとつ世論はどう考えているか。論説者がここまで書いてくださったことですから、特にこのことだけは強く知事にお願いし、提言させていただきたいと思います。
二つ目、昨年十一月、この県議会において提案され、地方自治法施行六十周年記念貨幣の発行に伴い、佐賀県は大隈重信さんの記念硬貨が発行されましたね。その地方自治法施行六十周年記念貨幣の発行に伴う地方分権振興交付金というのが佐賀県に参った。それを活用した佐賀県海外使節団派遣事業について、私は、知事のこの英断に大変敬意を表するものであります。
恐らく、この交付金を活用して、こんな政策をしたのは、実施されるのは、四十七都道府県で佐賀県だけだと私は思っております。さすがは改革派知事だと、この先駆的な事業を、全国でただ一県だけ実施されるだろうことに、もろ手を挙げて賛成し、選ばれて間もなく出発するであろう高校生や大学生の使節団の将来に大変頼もしく期待し、送り出していただきたいと思うものであります。
しかし、この事業は今回の一回だけということでありますけれども、こういうことこそ、次の時代のために、せめて十年と言いたいところでありますが、知事の任期はあと四年でありますから、当選されてもね。(笑声)十年続けてほしいところですが、四年後のことまで言えといったって無理でしょうから、せめてあなたの、三期目当選されるであろうことは間違いないと信じておりますから、共産党だけしか出ませんから。十年続けてほしいということですが、せめて四年でもこのことを続けてほしいということが私の今回の質問の大きな趣旨であります。
なぜなら、今、中国、韓国、インド、香港などの東アジアの若い人たちが倍々ゲームのごとく、アメリカを初め、欧州や日本などにも若い人たちが海外に留学し、研修、研究するために行っている人たちがふえていると言っても言い過ぎでないこのときに、何と日本の若者は逆に半減しているということであります。
一つ例を挙げてみましょう。調べました。アメリカのハーバード大学では、日本の留学生は、一九九九年には百五十一人を数えておったそうです。しかし、現在ではハーバード大学にわずか五人しか在籍していない。また、二〇一〇年秋時点で、アメリカ全体に留学している日本人留学生の数は二万四千人で、対前年比マイナス三五%と大きく減少して、ピーク時の四万七千人と比べると半減した計算となっております。また、海外で研修している日本の大学・研究機関のスタッフも三千七百三十九人で、二〇〇〇年のピーク時の七千三百七十四人からほぼ半減しているということであります。
このことについて、二〇一〇年、昨年ノーベル化学賞を受賞された根岸英一さん、自分の出た小学校や中学校、神奈川の湘南高校を回りながら、根岸さんは日本の若者が海外に飛び出す勇気を失えば、研究水準が下降するばかりか、技術主導の日本製造業にとっても大きなリスクになると懸念を表明されております。それが今、日本の大きな社会問題として、政府も取り組む状況になっている。それは、根岸ノーベル化学賞受賞者が、日本の科学力が二流になると危機感をあらわしたことがその発端となったようであります。
やはり、そういうきっかけをつくる人間を佐賀から生み出していくことになり、知事、あなたの後々まで語り継がれる、この先見的事業は、歴史に残るものだと信じます。それは、ソフトの未来、夢のかけ橋、百年かかる人材を今から育てることは、道路の橋をかけるインフラ整備と一緒だと私は思います。ハードな面じゃないけれども、これほど意義あるものはないと信じるからであります。
なぜ私がこのようなことを申し上げるかというと、昭和三十四年、今上陛下の、皇太子殿下の御成婚が成りました。その御成婚記念事業として、当時としては海外へ青年等が出かけていくことは考えられもしない、とても青年の力で行くなどということはできなかった。そのときに、時の総理大臣岸信介さんが日本の将来を考え、感受性の高いときがいいということで、二十五歳以下の青年を海外に派遣する事業を思い立たれ、全国から百名選んで、公式旅券を発行していただいて、そのもとに日本青年海外派遣事業ということで創設されました。
その第七回の昭和四十年に、私は佐賀県代表として幸いにも選ばれました。二十五歳でした。
そのとき、私たちは御殿場の国立青年の家で十日間にわたる研修を受け、約三カ月余りにわたって海外への初めての旅をさせていただきました。そのときの感動は、今もって一番印象に残る、私にとっては大きな学びと知識を与えるものでした。それ以来、私は幸いにも、六十カ国を超える海外へ出かける機会を得ましたが、一番の思い出は、古希を迎えた今なお、第一回目の旅のことであり、一番自分自身に自信を得ることになったのであります。
ですから、今では気軽に一人でも気楽に海外旅行に行けるようになりました。その有意義だったことを体験した一人として、これからの佐賀県を担う、いや、日本を担っていけるような人を育成するためにも、大変意義のある事業だと思うのであります。
私は第七回でしたが、一回早かった人に、同じ県議になられた、鳥栖市議会議長を過去なされた宮原久さんが私より一年先輩でした。そして、私の後の後が宮原岩政元議長でした。
そういうようなことで、私は大変有意義だった。それをきっかけにして、時の池田知事が、こんな効果があるものはない。全国で百人、佐賀県は小さいから一人、福岡県は二人、東京都は五人、神奈川県は三人ということで百人の枠が決まったわけですから、それを聞いて、よし、国の事業に佐賀県から委託しようということで、実は四十二年に、一人に百万円でした、そのとき。二人分の二百万円を国の総理府の青年海外派遣事業に委託して、佐賀県から三人出ることになりました。富山の知事もそうでした。静岡県もそうでした。そういうことがずっと出てきて、百人が最後は百三十人ぐらいになりました。
そういうことで、本当に有意義な、やっぱり私は意義だと思います。どうぞ、若い知事さん、今、だれもがこういうことに反対するものではないと思っております。
なぜなら、戦後の復興期にアメリカに留学する金などなかったとき、アメリカ上院議員のフルブライトさんが、日本の優秀な子供たちだけといって、フルブライト奨学金が創設され、アメリカに留学された中で、宮澤喜一元総理大臣が第一回です。そして、下村治という人は佐賀県に関係あります。佐賀県出身ですよ。池田勇人の所得倍増のブレーンだった。大前研一経済学者。そして、下河辺淳さん、この人は田中角栄の日本列島改造論のブレーンであります。それから、もう一つ、有名な、このごろテレビでありました。若泉敬さんですよ。佐藤栄作さんの沖縄返還交渉の裏舞台をした人です。キッシンジャーとハーバードで一緒だったんだから。
こういうように、日本の復興へのブレーンとして日本をつくり上げたことを見れば、根岸博士が嘆かれるのも御理解いただけると思います。また、根岸博士自身もフルブライト奨学生なんであります。その言葉はみずからの経験から出たものであり、大変重いと言わざるを得ません。
こうしたことから、私はこれからの佐賀、ひいては日本の将来を担う人材を佐賀から育てるために、また、早いうちから国際感覚を身につけていくために、感受性の強い高校生たちを中心に派遣する必要があると考えます。大学生は、次からは省いてよろしい。ぜひとも、この海外使節団派遣事業をもっと規模を拡大して、これからも継続していただきたいと強く思う次第であり、国際的人材の育成についての知事の御所見をお伺いしますが、私の提言は、ぜひこのことを次の三期目に向かうマニフェストに堂々と表に書いていてくださいと申し上げたいのであります。
私は、高校生を中心としたと言いますが、優秀な者、そんな者ばかり出すのがすべてじゃないですよ。国もやるでしょう。しかし、たった二十市町しかなくなったんですから、二人ずつだったら四十人。じゃあ、せめて二人ずつぐらいは、地元に残る、技術を継承するような人たちを、近くてもいいから、学ばせてあげたいと思います。
また、先ほど末安議員さんから、戦没者の名簿の一元化の話もありました。私自身、率直に申し上げて、この海外派遣で、当時はビルマと言いました。初めてビルマというところに行きまして、まだ戦後二十年でしたから、マンダレイの丘というところに、何と、しかばねが累々として横たわっているのを見ました。サイパンに行けば、あのバンザイ岬に、今、厚生省がつくったつい立てのところに行きました。やはり、そういうものをみんなわかって、平和というものがどんなに大切か、戦争というものを再び繰り返してはいけないということを、百聞は一見にしかず、そういうことも見せるだけでもいいと私は信じているからであります。どうか、そのことを切にお願いしたいと思います。
だから、いいところはいい、佐賀県からラ・サールや附設に行っている人たちもいいじゃないですか。そういう人と、また違う人と二通り分けてもいいから、私は百人ぐらい出したっていいと思う。これは大きな投資だと私は思う。ソフトの投資だと思います。
さて、三番目、九州新幹線西九州ルートについてであります。
この中に、少々意見が違う方があられると思いますが、それはそれ、今まで私たちも黙って聞いてきたんですから、今回は私の話も聞いてください。
西九州ルートについては、既に、この議論が始まって以来、たくさんの議員さんがこの本会議場からさまざまな議論が行われました。既に着工から四年目を迎えようとしている、二十三年度は四年目になるんですよ。その前に、今議会でも二人の議員さんが新幹線西九州ルートの関連について質問されました。
一人の方は在来線のことですから、それも当然です。だけれども、なぜ新幹線西九州ルートだけ、こういう費用対効果などというものが起こってくるか、私は疑問にさいなまれるのであります。今なお、こういう論議が行われるということは、しかし、いいことでありますよ。しかしその多くは、費用対効果とか無駄な公共事業だというような意見で大体多く論議されたような気がいたします。
私は、私の知人、友人に、「新幹線はあったほうがいいかい、なかったほうがいいかい」と言うたら、「あったほうがよかさい」と言う。「しかし、福岡まで五分、長崎まで二十分、それに、県費つぎ込むとは反対ですよ」と、こういう人がほとんどですね、大体。
そういうことが確かにある。私はそういう方が多いのも知っているんでありますが、そこで私は説得するのであります。これは、社会基盤の整備なんです。現在に必要なものだけでなく、十年、いや、五十年、百年後に、つくっていてよかったと思われるようなのが先行投資といって、インフラ投資だと思います。
そのような意味では、西九州新幹線の決定した一番の根幹は、なぜこれができたか、なぜ佐賀だけこっちに、長崎まで行くのをできたか、それはなぜか。その一番の原因は、実は原子力船「むつ」、青森県のむつの港でつくられた原子力船が放射能漏れで仕方なかった。横須賀沖にとうとう留置された。寄港がない。そのときの政府が、アメリカの原子力潜水艦や空母が既に佐世保港には寄港しておりました。アメリカの原子力潜水艦、原子力空母が寄港しているんだから、どうかこの原子力船「むつ」を佐世保に受けてくれと。そのかわり、何かあったら聞いてやるというところで、長崎県知事が出したのは、佐世保経由の長崎までの新幹線建設という要望が出た。そのときに、時の政府、自民党三役、江崎さんが政調会長かな、中曽根さんが会長かな。その三役と長崎県知事の覚書が交わされた。そこで、実は、「むつ」が行く予定だったんですが、どうにもならなくて、再び建造地のむつに帰って、廃船になって、佐世保に寄港しなくて済んだんです。しなかったんです。
だから、そのときの覚書が、長崎県と政府の相当激しいつばぜり合いがあった。結果、佐賀県知事が政府と長崎県の中間に立って、最短距離で最少の費用の現在のルートを、当時の佐賀県知事が仲介案として提案し、それが今の長崎新幹線のルートに決定したことを皆さん御存じであろうと思います。
しかし、その後、JR九州としては、博多から大阪、東京へ、現在の博多までの新幹線にどれだけ乗車されても、JR九州の収入にはならないのであります。何が入るかというと、JTBや西鉄旅行というようなのの発券手数料だけなんですよ。全くならないから、JR九州はどうしても早く札幌から鹿児島までという、頭から背骨を通すという、札幌から鹿児島までの背骨論の新幹線整備計画の中に西九州ルートも入ったんです。それから、JR九州は独立採算ですから、急いで貫きたいということで、鹿児島ルートはでき、来月十二日にはいよいよ開業する運びとなりました。
西九州ルートは、鹿児島ルートの着工からおくれること四年、平成十七年に初めて予算化されましたが、在来線の経営分離の地元同意という条件がどうしてもクリアできませんでした。だから、三年間は着工できませんでした。しかし、そういう苦労があったゆえに、今回、長崎ルートというのは全く全国でも例を見ない、JRからの在来線の経営分離を行わないで新幹線が開通して、特急十本を含む運行をJRがするということになったんであります。
新幹線が通っても、二十年間、あの運行はJRが責任持つ。これは全国に本当に例を見ない。鹿島の反対の方々にも顔を立てる、しかも、経営分離の第三セクターをまだつくらなくていいという、こういう考えられもしないことが佐賀県でできたということは、知事、私は誇りに思っていいと思うのであります。
そういう意味から、なお今、佐賀県に他県から、執行部はもちろん、県議会からたくさん来ている。なぜ来ているかと。うらやましがって、どうしてそれができたということで来ているんじゃないかと思いますが、最後に質問しますが、どこから何件ぐらい来ているのか、何を聞きに来たか、それがわかったら最後に答えてください。
○ 時 間 延 長
37 ◎議長(留守茂幸君) 時間を延長します。
38 ◎原口義己君(続) もう一つ、県民の皆さんに知らせなきゃいけないから申し上げます。きょうは、私の支援者も、最後ですから来ていいですかと、今までも傍聴に来てはいかんと言うとった。しかし、来ていいですかと言っていただいたから、ありがたいと、来ていただきたい、私は説明しますと言った。
西九州ルートをつくらなかった場合は、これが佐賀県に金が来るかというと、来ない。なぜかというと、北海道新幹線や北陸新幹線にすべて充てられるのであります。確かに、県の負担は一八・三%でありますから、この一八・三%の西九州新幹線の負担が重いと思われますか。今まで、一級国道、一号から九十九号までの一級国道は国の直轄事業負担金、その直轄事業をする、それに対する県の負担する割合は、かつてあった直轄事業負担金はもうありませんけれども、その当時は三六%だった。半分ですよ、一級国道つくるのに負担するのより、はるかに軽い。
○ 請 願 提 出
43 ◎議長(留守茂幸君) 次に、請願が二件提出されております。これは皆様のお手元に配付いたしております請願書のとおりであります。
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請第一号請願 佐賀県における「受動喫煙防止対策」の現実的な対応
を求める請願
請第二号請願 「佐賀県食の安全・安心条例(仮称)」の制定の促進を
求める請願書
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○ 請 願 上 程
44 ◎議長(留守茂幸君) 請第一号請願及び請第二号請願を議題といたします。
請第一号請願及び請第二号請願につきましては、既に上程中の議案とあわせて審議することといたします。
○ 委 員 会 に 付 託
45 ◎議長(留守茂幸君) ただいま議題となっております甲第一号議案から甲第三十二号議案まで三十二件、乙第一号議案から乙第二十二号議案まで二十二件、請第一号請願及び請第二号請願、以上の議案及び請願を皆様のお手元に配付いたしております議案付託表及び請願文書表のとおり、それぞれ所管の委員会に付託いたしたいと思います。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
46 ◎議長(留守茂幸君) 以上をもちまして、本日の日程は終了いたしました。あす二十五日は議案審査日、二十六日は及び二十七日は休会、二十八日は議案審査日、三月一日及び二日は各常任委員開催、三日は本会議を再開して、委員長報告を行います。
本日はこれで散会いたします。
午後五時四十二分 散会
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